2024/25年度の供給に向けたT-1キャパシティマーケットオークションは、2024年2月20日に実施されました。過去2年間に高値が続いた後、今年のオークションは£4/kWから£55/kWまで、どこで決着してもおかしくない状況でした。ここでは、クリア価格、供給容量、そしてバッテリーエネルギー貯蔵への影響について、主なポイントをまとめました。
1. オークションは£36/kWで決着
オークションは8回目の入札ラウンドで、サットンブリッジ(0.8GW)とセヴァーン(0.8GW)が退出した後、£35.79/kWでクリアとなりました。それ以前に退出したのはわずか230MWでした。今回のオークションは、サットンブリッジとセヴァーンの動向によって、価格の幅が大きく変動する可能性がありました。

2. デリレート容量7.6GWが契約獲得、過去最高を記録
デリレート容量7.6GWが契約を獲得し、過去最高となりました。このうちガスが2.9GW、原子力が2.8GWで、全契約容量の75%を占めています。バッテリーは4番目に大きな構成要素で、655MWのデリレート容量が契約を獲得しました。

3. バッテリー接続容量3.7GWが契約獲得、過去最高
バッテリー接続容量の契約獲得量は3.7GWで、これまでで最も高い数値となりました。これは、オークションで契約を獲得した技術別の接続容量として最大であり、原子力の3.5GWを上回りました。バッテリーのデリレートファクター低下の影響が表れています。

4. バッテリーのT-1契約価値が64%減少
2023/24年度のT-1キャパシティマーケット契約を持つバッテリーは、2024/25年度で契約価値が64%減少します。これは価格下落とデリレートファクターの低下が要因です。1時間バッテリーのデリレートファクターは19%から11%に、2時間バッテリーは37%から24%に低下しました(前回比)。

5. Gresham House、Zenobe、Harmony Energyが容量別で最多契約を獲得
Zenobeの200MWブラックヒロックが契約を獲得し、ZenobeはHarmony、Gresham Houseと並んで契約接続容量でトップ3に入りました。3社とも2時間運転可能なバッテリーシステムに注力しており、新規バッテリー容量の70%は2時間バッテリーによるものでした。

追加情報:
- サットンブリッジおよびセヴァーンCCGTは、2020年に経営破綻後、発電所を完全に再稼働するコストが理由でオークションから退出した可能性が高いです。これにより、来冬の再稼働は見込まれていません。
- 267MW(デリレート)のコービーユニットは、今後のT-4契約がないため退出の可能性が高いと見られていましたが、オークションに残り、2024/25年度も運転を継続することになりました。
- 今回のオークション結果から、2024年10月までに新たに2GWの新設バッテリー容量が稼働する可能性が示唆されています。
- 100MW超の新規バッテリー2基がキャパシティマーケット契約を獲得しました。Sembcorpのティーズサイド発電所の新設144MWユニットと、Zenobeの200MWブラックヒロックです。2024年はこの規模のバッテリーが英国で初めて稼働する年となるでしょう。




