12 August 2024

容量市場2024/25:BESS向けデリーティングファクターの増加が確定

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容量市場2024/25:BESS向けデリーティングファクターの増加が確定

8月初旬、ESOは2024/25年度の容量市場を開始しました。これにより、来年3月のオークション前の予備資格取得のスケジュールが確定しました。また、T-1およびT-4オークションのデリーティングファクターと目標容量も発表され、バッテリーエネルギー貯蔵にとっては朗報となっています。

T-1オークションは2025/26年度(2025年10月開始)の供給能力を契約します。T-4オークションは2028/29年度(2028年10月開始)からの供給能力を契約します。

貯蔵設備のデリーティングファクターが手法変更により増加

7月には、バッテリーエネルギー貯蔵のデリーティング手法の変更について検討しました。これらの変更は現在確定し、「スケールドEFC」手法が採用されました。これにより、T-1およびT-4オークションのバッテリーデリーティングファクターは直近のオークションより増加しています。

これにより、オークションを通じてバッテリーが受け取れる契約MWが増加し、同じ価格でも契約の価値が高まります。また、前回のT-4オークションで9時間以上のバッテリーが多く入札した原因となった長時間帯での段階的な増加も解消されました。

1時間および2時間のバッテリーは、それぞれT-1で13.64%と27.15%のデリーティングファクターとなります。これは前回の容量市場と比べて20%の相対的増加です。

T-4では、バッテリーのデリーティングファクターが前回オークション比で35%増加します。1時間バッテリーは10.47%、2時間バッテリーは20.94%となります。

このデリーティングファクターの増加は、これまでの減少傾向を反転させるものです。ただし、増加したとはいえ、2年前の水準よりは依然として低いままです。現行手法に基づき、今後数年でデリーティングファクターは再び減少していくと予想されます。

T-1の目標容量は減少、T-4は44 GWで据え置き

来年度のT-1オークションの目標容量は6.5GWに設定されました。これは、ESOの推奨値より0.3GW低く、慎重すぎるとの懸念によるものです。目標容量は前回の7.7GWより1.2GW減少しています。

T-4オークションの目標容量は44GWで、前回の最終目標容量と同じです。推奨目標は45GWでしたが、そのうち1GWは同じ供給年度のT-1オークション用に確保されています。

来年度の価格にどのような影響があるか?

T-1では、オークションにどれだけの容量が参加するかがポイントとなります。直近のオークションでは、過去最多となる9.9GWが契約を競いました。そのため、過去よりも低い価格(£36/kW)となりましたが、目標容量は過去最高でした。次回も同程度、もしくはバッテリーデリーティングファクターの増加によりさらに多くの容量が参加すると見込まれるため、価格は下がる可能性があります。

T-4では、合計43.3GWがオークションに参加し、過去最高の£65/kWとなりました。このうち37GWは既存の設備です。来年度も大半が参加する見込みで、44GWの目標との差から新設発電が価格を決定する状況が続くでしょう。これにより3年連続で高値となる可能性が高いです。ただし、昨年の高値を受けて新設プロジェクトの参加が増えれば、状況が変わるかもしれません。

容量市場の予備資格申請は10月1日締切、オークションは3月開催

2025年容量市場の主な日程は以下の通りです:

出典:National Grid ESO
  • 予備資格申請締切:10月1日
  • T-1オークション開催:3月4日~5日
  • T-4オークション開催:3月11日~12日