13 November 2025

イタリアの容量市場:安定性を重視した設計

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イタリアの容量市場:安定性を重視した設計

2019年以降、イタリアの容量市場は毎年平均42GWの確定容量を契約下に維持しており、石炭火力の廃止や再生可能エネルギーの拡大の中で、電力の信頼性を確保しています。

発電事業者や蓄電設備に対し、確定容量1MWあたりの固定年額報酬を支払うことで、テルナは年間3時間を超えて需要が供給を上回らないという十分性基準を維持しようとしています。

十分性目標と収益上限を組み合わせることで、この仕組みは収益を安定させ、短期的な市場変動ではなく、システムのニーズを反映したものとしています。

オークション構造:確定容量の確保を促進

テルナは将来の供給期間に向けて確定容量を確保するため、毎年1回の主要な容量オークションを実施することを目指しています。

このオークションでは、資産の状態に応じて契約期間が異なる複数の容量カテゴリーが対象となります。

各オークションは複数の短い入札ラウンドで進行し、その間に参加者は入札価格を引き下げることができます。

次のラウンドに残るには、最低4%の価格引き下げが必要です。これにより、些細な価格調整や戦略的な探り合いが防止されます。

容量市場価格の決定方法:信頼性と価値の連動

容量市場オークションは「クリア価格支払い方式」で行われ、カテゴリーごとに落札した全ての参加者が同じ価格を受け取ります。

この価格は、テルナの需要曲線と減価調整後の総供給量が交わる点で決まります。減価調整は、システムが逼迫した際の資源の期待稼働率を反映するために各ユニットの容量を調整するものです。

テルナは全てのゾーンの供給・需要曲線を全国一括でクリアし、あらかじめ定められた転送制限内でゾーン間の容量貢献を可能にしています。価格は全国的に揃う傾向がありますが、局所的な制約が生じると乖離します。

需要曲線

テルナの需要曲線は、確定容量が提供するシステム信頼性とその価値を結びつけています。

需要曲線は、年間で需要が供給を上回ると予想される時間(LOLE:供給不足期待損失)から導出されます。

減価調整後の容量が増えるほど信頼性は向上し、追加容量の限界価値は低下します。曲線には新規ピーク発電のコストを反映した上限が設けられており、停電回避のシステム価値に沿った支払いが保証されます。

B点とC点の間には、大型発電機1基分ほどの最小MWギャップが設けられており、主要ユニットの入退場による急激な価格変動を防いでいます。

供給曲線

各ゾーンの供給曲線は、減価調整後容量(GW単位)の適格オファーを集約したものです。

減価調整は、技術ごとの逼迫時の安定供給力を反映するもので、低い減価率はより多くの容量が確定容量として認められることを、逆に高い減価率は出力変動の大きさを示します。

火力発電所の減価率はおよそ23%、太陽光はその間欠性から約88%です。蓄電池の場合、持続時間が長いほど減価率が下がり、1時間システムで約76%、8時間システムで約10%と、長期逼迫時の対応力を反映しています。

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