06 November 2023

蓄電池エネルギー貯蔵:10月も収益が増加傾向を継続

Written by:

蓄電池エネルギー貯蔵:10月も収益が増加傾向を継続

10月の月間平均蓄電池エネルギー貯蔵収益は£4.8k/MWとなり、7月以来の最高水準となりました。これは、9月の19%増加に続き、2か月連続の収益増加となります。

  • 22%の増加により、10月は2023年で4番目に高い収益となりました。
  • £4.8k/MWの平均収益は、年間換算で£57/k/MW/年に相当します。
  • 1.5時間未満の蓄電池の平均収益は£4.3k/MW1.5時間超の蓄電池£6.2k/MWとなりました。

10月の収益増加を牽引した主な要因は何だったのでしょうか?

Wendelが10月の蓄電池エネルギー貯蔵収益増加の理由を解説

取引価値の上昇が蓄電池収益増加の最大要因に

10月の蓄電池収益増加の大部分は、9月と同様に卸売取引収益の増加によるものでした。45%の増加により、2022年12月以来の最高水準となり、1月の年間最高値を上回りました。これにより月間蓄電池収益は9.4%増加しました。

この取引収益の増加は、取引スプレッドの32%上昇に続くものでした。ガス価格は冬に向けて9月比17%上昇し、翌日取引スプレッドも同様に拡大しました。しかし、スプレッド拡大の最大の要因は、月間を通じて高水準が続いた風力発電でした。

風力発電の増加が価格スプレッド拡大の主因

9月後半から非常に高い風力発電量が続き、10月もその傾向が続きました。月間平均の風力発電量は10.3GWで、9月比40%増、2月以来の最高水準となりました。

この高い風力発電が、需要が低い時間帯(夜間や週末の日中)に発生すると、電力価格が大きく下落しました。これは14回発生し、9月の2倍となりました。

これらの価格下落により、10月全体で価格スプレッドが拡大しました。これら14日間のスプレッド平均は£123/MWhで、通常パターンの日の£82/MWhを大きく上回りました。

ダイナミック・コンテインメントとダイナミック・モデレーションも収益増に寄与

ダイナミック・コンテインメントおよびダイナミック・モデレーションの価格上昇により、10月の蓄電池エネルギー貯蔵収益はさらに7.8%増加しました。8月の過去最低から2か月連続でダイナミック・コンテインメント価格が上昇しています。一方、ダイナミック・モデレーション価格は60%上昇し、2022年11月以来の月間平均最高値となりました。

ダイナミック・コンテインメント価格の20%上昇は、月間を通して卸売取引価値が高まったことと関連しています。一方、ダイナミック・モデレーション価格の変化は、ESOによるサービス評価方法の根本的な変更が要因です。

9月のFrequency Response Market Information Reportで、ESOはダイナミック・モデレーションの要件を増やすこと、そしてサービス評価方法の変更(最終的に価格上限を決定する)を発表しました。

このプロセスは10月に開始され、要件量は最初に20MW増加し、月末にはさらに50MW増加しました。

同時に、サービスの価格上限も9月平均の3倍に上昇しました。これら2つの変化により、価格は2022年11月以来の最高水準となりました。

EAC導入で11月以降の収益増加は難しい可能性も

過去2か月間は収益増加の傾向が続いていましたが、11月2日のEnduring Auction Capability(EAC)の開始により、3か月連続の増加は難しくなった可能性があります。

共同最適化や一部でのオーバーホールディング導入により、ESOによる周波数応答調達の効率が向上し、クリア価格が低下しました。さらに、プロバイダーがマイナス価格で入札できるようになったことで、特にDynamic Regulation HighやDynamic Moderation Highの価格が下落しています。全体として、Dynamic Regulation Lowを除く全サービスでEAC導入以降価格が下落しました。

この価格傾向が続く場合、事業者は周波数応答サービスによる収益減を取引収益の増加で補うことを期待するしかありません。