2024年第2四半期は、過去最低の収益となった直近3か月を受けて、イギリスにおけるバッテリー蓄電事業に明るい兆しが見られました。この四半期では、取引機会の拡大、バランシングメカニズムの利用増、新たな収益源、さらにGresham HouseとOctopus Energyによるバッテリーの記録的なトーリング契約が発表されました。
2024年4月から6月にかけてのバッテリー運用に関する主なニュースをご紹介します。
1. バッテリー蓄電収益が平均27%増加
GB BESSインデックスは2024年第2四半期に平均5万ポンド/MW/年となり、年初3か月の3.9万ポンド/MW/年から27%増加しました。この値はイギリスでバランシングメカニズムに登録されたバッテリーの平均収益を示しています。

収益の回復は、すべての運用時間帯のバッテリーで同様に見られました。1時間インデックスは平均4.4万ポンド/MW/年で28%増、2時間インデックスは平均6.2万ポンド/MW/年で25%増加しています。
収益増加は3つの主要な収益源すべてで見られ、主な要因はホールセール価格のスプレッド拡大とバランシングメカニズムの活用向上でした。
詳細は最新のベンチマークアップデートをこちらでご覧ください。
2. マイナス価格が70時間発生 ― うち53時間は4月
2024年第2四半期、イギリス(およびヨーロッパ)ではマイナス価格が急増しました。四半期全体で70時間のマイナス価格が発生し、2024年通算では83時間に達しました。これは2024年全体で記録された107時間と比較されます。

4月前半の風力発電量の増加により、単月で53時間のマイナス価格が発生しました。その後、6月にも17時間が記録されています。7月にもマイナス価格が発生し、2024年の累計は98時間となっています。
詳しくは、4月の詳細レポートをこちらでご覧ください。
3. バランシングメカニズム利用率が59%向上
2024年第2四半期のバッテリー蓄電のインメリットディスパッチ率は10.2%となり、第1四半期の6.4%から大きく上昇しました。これはバッテリー蓄電利用率が59%相対的に増加したことを示しています。ディスパッチされたバッテリー容量も増加し、1日あたりの平均値がy%増のxとなりました。

このディスパッチ率の向上は、第1四半期にESOがバッテリーディスパッチに対して改善を行ったことが背景です。2023年12月のオープンバランシングプラットフォーム開始後、1月にはバルクディスパッチが導入されました。
3月には「30分ルール」が導入され、従来の15分から最大30分までバッテリーのディスパッチが可能となり、新しいバランシングリザーブサービスへの参加が実現しました。
30分ルールの影響については、5月の詳細レポートをこちらでご覧ください。
4. バッテリー蓄電による制約管理アクションも133%増加
30分ルールの変更により、バッテリー蓄電が制約管理に活用される場面が大きく増加しました。2024年第2四半期、システムフラグ付きBid量は第1四半期比で133%増加しています。これらのディスパッチは、制約管理のためのターンダウンアクションを示しています。

2024年6月には、バッテリーへのシステムフラグ付きBid量が7.3GWhと過去最高を記録し、4月の従来記録から58%増加しました。
スコットランドのバッテリー蓄電システムがこの変化の最大の恩恵を受けており、特に北スコットランドで顕著です。北スコットランドのシステムフラグ付きBid量は、全体の65%を占めました。
詳細は6月の制約管理レポートをこちらでご覧ください。
5. 5月にバランシングリザーブがバッテリーに価値を示す
バランシングリザーブは3月に開始されました。この新サービスはESOが翌日段階でリザーブを確保する仕組みで、開始以来バッテリーが主要な参加技術となっています。一部のシステムはこのサービスを有効活用しています。

バッテリー蓄電の平均収益は5月に33%減少しましたが、一部のバッテリーはバランシングリザーブを活用し、影響を抑えることができました。5月の1時間・2時間バッテリーのトップパフォーマーは、収益のそれぞれ22%・30%をこのサービスから得ていました。
詳細は5月のバランシングリザーブ特集をこちらでご覧ください。





