MISO発電設備の将来展望:5年後の発電ミックスはどう変わるのか?
Modo Energyは、2031年までにMISOで68GWの新規発電容量が導入されると予測しています。314GWの連系待機案件から、撤回リスク、商業運転開始日の推定、地域ごとの容量制限を考慮し、現実的な建設スケジュールを導き出しています。天然ガス(27GW)と太陽光(28GW)がほぼ同水準でリードしています。迅速資源追加調査(ERAS)による確定連系契約案件がガスの増加を牽引。確定計画プロセス(DPP)は太陽光案件が中心です。
主なポイント
- MISOの314GWの連系待機案件のうち、撤回リスクや時期、地域制限を考慮後、2031年までに68GWが新規発電として導入されます。この結果はMISOのSeries 2A Futures予測とも一致します。
- 天然ガス(27GW)と太陽光(28GW)はほぼ同水準。ガスはERAS経路で22GWが確定連系契約により先行。太陽光はDPP経路で26GWですが、撤回リスクが高めです。
- 予測ではBESS(蓄電池)が6.9GW導入されます。うち4.0GWはERAS、2.9GWはDPP案件です。ただし容量拡大型モデルでは追加バッテリーの選択はありません。
MISOの連系待機案件のうち、実際に建設されるのはどれくらい?
MISOのDPP待機案件には、1,434件・合計285GWの発電計画が含まれています。ERASプログラムはさらに29GW(主に天然ガス)を加えます。両経路合わせて314GWとなり、これはMISOの現行設置容量の約1.5倍です。
この数字は予測値ではありません。連系待機案件には、投機的な案件や仮プロジェクト、重複申請が含まれています。MISO自身のデータでは、これまでに73%の連系申請が完了前に撤回されています。さらに、約48GWの案件は既に商業運転予定日を過ぎています。
この待機案件を信頼できる予測に変換するには、構造的なディレーティング(割引)が必要です。撤回が見込まれる案件の除外、現実的な完工時期の推定、MISOの資源計画に整合する水準での追加上限設定が求められます。
ディレーティング・パイプラインは314GWをどう68GWまで絞るのか?
Modo Energyのディレーティング・パイプラインは3段階のフィルターを適用します。
フィルター1:撤回確率(314GW→107GW) 各DPP案件ごとに商業運転到達確率を割り当てます。モデルはMISO公表のフェーズ別撤回率、フェーズ内進捗補正、技術ごとの完工率を参照。ERAS案件(29GW)は確定連系契約のため100%通過。これで107GWが残ります。
フィルター2:商業運転開始日の推定 技術・フェーズごとの実績値から所要期間分布を用いて、信頼性の低い申請日を置き換えます。太陽光は平均1.5年、ガスは0.5年と最短です。
フィルター3:地域ごとの上限と建設ペース(107GW→68GW) 各ローカルリソースゾーンごとに累積容量上限を設定(MISOのF2計画資源に合わせて調整)し、39GWをカット。年次建設ペースも各ゾーンの過去最大建設実績の1.5倍に制限。ERAS案件は累積制限を回避しますが、年次ペース制約は適用されます。
技術別・経路別の建設内訳は?
天然ガスと太陽光が建設全体の80%を占め、待機案件の単純な内訳よりも均衡しています。
天然ガス: ERAS案件(22GW)が確定連系契約によってガス建設の大半を占め、DPPを迂回します。主にMISOサウスのコンバインドサイクル・コンバッションタービンが中心。バッテリー開発者にとっては、ERASガスがBESSとの競合ベースラインとなります。
太陽光: DPP経路で26GWがリードしますが、ERASガスより撤回リスクが高め。ミシガン(LRZ 7)、MISOサウス(LRZ 9)、ミズーリ(LRZ 5)に集中。DPP太陽光は昼間の価格低下を深め、日内価格差が拡大。これが補助サービスや容量市場とともに蓄電池収益を押し上げます。
風力: 待機案件に比べて増加は控えめ。最高資源ゾーンでは送電制約があり、太陽光と連系容量を争います。予測は進捗の進んだ案件を反映。
BESS:6.9GW 予測では6.9GWのBESSが導入され、うち4.0GWはERAS案件(15件)、2.9GWはDPP残存案件(108件)です。ERAS BESSはインディアナ(1.5GW)、ミネソタ(1.2GW)に集中。ミシガンは3.1GW(主にDPP)で最大ゾーン。とはいえ、容量拡大型モデルでは追加バッテリーは選択されません。
MISO内での建設分布は?
68GWの建設は均等には分布しません。特に、ディレーティング結果から3つの地理的特徴が見られます。
太陽光と蓄電池は州目標が強い地域に集中。 ミシガン(12.5GW)は州のクリーンエネルギー目標、大規模再エネ案件、3.1GWのBESSが組み合わさっています。ミズーリ(4GW)は太陽光2.9GWが中心。アイオワ(6GW)は風力が主体ですが、新規増設は出力抑制リスクも。
インディアナは供給余力が最も厳しい。 MISO最大の稼働中BESS(337MW)を有し、今後も蓄電池・ガスの開発が続く見込み。しかし、ピーク需要が設置容量+新規建設に迫るため、柔軟性リソースの裁定価値が高まります。
ERASガスはMISOサウスと上部中西部を支える。 ルイジアナ・テキサス(14GW)が最大の割当。確定契約のERASガスが湾岸地域の信頼性を担保。ウィスコンシン(7GW)はERAS・DPP双方から供給され、ガスは3.9GW。これらのゾーンが信頼性ガスの集中エリアです。
MISOで退役する設備は?
2031年までにMISOでは約10GWの運転中容量が退役し、そのうち8GWは石炭火力です。退役は2028年(3.9GW、ほぼ石炭)と2027年(1.9GW)に集中し、短期的な需給ギャップが生じます。
地理的影響は不均一です。ミシガン(LRZ 7)が最大の退役容量(ほぼ石炭)を抱え、MISOサウス(LRZ 9)も大きな容量を失いますが、このゾーンは新規建設がすでに過剰です。全体として、68GWの新規建設が必要な理由のひとつです。新規建設がなければ、現有設備で2030年代初頭まで需給を維持できますが、MISOの需要見通しが変わればバランスも変動します。特に、データセンターや製造業の需要増加がMISO中部で加速しています(「データセンターと製造業がMISOの2046年負荷予測を形作る」参照)。
MISOにおけるBESS義務化
MISO域内の5州には合計約8GWのBESS調達目標があります(イリノイ3GW、ミシガン2.5GW、ミネソタ1.2GW、ミズーリ1GW、インディアナ337MW)。ただし、多くのBESS案件は初期段階のDPP案件で、確定連系契約の太陽光・ガス案件の後ろに位置します。例えばイリノイでは、先行案件がゾーンを埋めるため、2031年までにBESSの導入はゼロです。
そのため、今回の予測における6.9GWのBESSは、義務化によるものではなく、ERASコミットメントやDPP残存案件が主な要因です。今後、州が連系サイクルで蓄電池を優先すれば義務化が普及を加速させる可能性もありますが、現状の待機案件には反映されていません。
開発者がこの予測から得るべき教訓は?
連系待機案件の数値は、実際に建設可能な容量の約4.6倍に過ぎません。314GWという見出しは、開発者の関心度を示すもので、即建設可能なパイプラインではありません。しかしディレーティング後、ガスと太陽光は異なる経路でほぼ同水準に到達します:ガスはERAS、太陽光はDPP経由。BESSの導入はERASコミットメントや待機案件の位置に左右され、州の調達目標とは連動しません。
68GWのうちどれだけ実現するかは、ERASガス案件が予定通り進むか、DPP太陽光が前例のない建設ペースを維持できるかにかかっています。
2031年以降~2050年へ
今回の予測は2031年までのディレーティング済み待機案件が対象です。撤回フィルターを通過したものの、地域上限や年次ペースに収まらなかった約107GWが残り、これが2031年以降の容量拡大型モデルの候補群となります。





