2026年1月のNYISO:冬の嵐フェルンでアップステート基準価格が急騰
冬の嵐フェルンはニューヨーク州で高騰と価格変動を引き起こしました。1月下旬の急激な気温低下により、州全体で価格が急騰しました。リアルタイム価格は1月24日に$1,942/MWhに達し、数日後にはデイアヘッド価格も$1,006/MWhのピークを記録しました。
1月のデイアヘッドTB1スプレッドの平均は$108/MW/日でした。リアルタイムTB1スプレッドは$184/MW/日となり、いずれも過去12か月で最高値となりました。
この嵐により、NYSERDAのインデックスストレージクレジット(ISC)プログラムの主要指標であるアップステート基準価格は前年比74~90%上昇しました。アップステートのゾーンは、従来より収益性の高いダウンステートのゾーンと収束しました。ISC契約を目指す開発者にとって、極端な低温下でアップステートプロジェクトの競争力が向上したことを示しています。
これはModo EnergyによるNYISOバッテリー収益のベンチマークレポート初版です。
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なぜ基準価格はNYISOバッテリーにとって重要なのか?
NYISOの大規模バッテリーはISC契約が不可欠です。マーケット収益だけではコストを賄えません。ISCのもとで、NYSERDAは開発者がコストに基づいて提示するストライク価格と、市場収益の代理値である基準価格との差額を支払います。
基準価格は2つの要素で構成されます。リファレンスキャパシティ価格(RCP)はUCAPスポット価格とキャパシティ認定係数(CAF)に基づき、リファレンスエネルギーアービトラージ価格(REAP)は特定バッテリー持続時間のデイアヘッドゾーンTBスプレッドに基づきます。本レポートでは4時間バッテリーを例にこれらの価格変動を解説します。
基準価格が高いほど開発者には2つのメリットがあります。まず、NYSERDAからのISC支払いが減ることで入札スコアが向上し、契約獲得の可能性が高まります。次に、高い基準価格ゾーンのプロジェクトは、競争力を維持しつつやや高いストライク価格で入札でき、プロジェクト収益性が向上します。
1月のアップステート基準価格の急騰は、冬季の価格変動がこれらゾーンの競争環境を大きく変えうることを示しています。
ニューヨーク全体で基準価格はどのように収束したか?
2025年1月、ダウンステートの基準価格は一部アップステートゾーンの約2倍でした。NYCは$115/MW-日、Westはわずか$55/MW-日でクリアされました。
2026年1月にはその差が縮小。NYCは前年比14%増の$130/MW-日、Westは74%増の$95/MW-日、Northは最大の90%増で$59/MW-日から$112/MW-日に上昇しました。
その結果、以前は$50~60/MW-日遅れていたアップステートゾーンが、先月は$20~35/MW-日の差まで縮まりました。
アップステートの大幅な上昇要因は?
気温低下は暖房需要を高め、より高コストの発電所が稼働し、ピーク時とオフピーク時の価格差が拡大します。
この寒波はアップステートをダウンステートより厳しく襲いました。嵐期間中、オールバニの平均最低気温はほぼ華氏0度、バッファローは3度まで下がりました。一方、ニューヨーク市とロングアイランドの最低気温はそれぞれ12度、11度と、やや穏やかでした。
非対称な天候が非対称な価格を生みました。WestのデイアヘッドTB4スプレッドは前年比でほぼ2倍、$145/MW-日から$286/MW-日に。Northも同様に$161/MW-日から$352/MW-日に倍増しました。
ダウンステートのゾーンでは上昇幅が小さく、ロングアイランドのリアルタイムTB4スプレッドは前年比12%減少しました。
キャパシティ価格の影響は?
基準価格の収束はREAPが主導しましたが、RCPもわずかに寄与しました。
ゾーンA~EのRCPは$0.57/kW-月から$0.74/kW-月へと28%上昇。NYCのRCPは逆に$1.37/kW-月から$1.23/kW-月へ10%下落し、NYC UCAPスポット価格の23%減少を反映しています。
一方、WestのREAPは$36.29/MW-日から$71.62/MW-日に倍増、NorthのREAPも$40.31/MW-日から$88.00/MW-日に倍増以上となりました。ギャップを埋めたのはキャパシティではなくエネルギーアービトラージです。
リアルタイムプレミアムは基準価格を上回る収益をどう生んだか?
嵐後のリアルタイム価格は$2,000/MWh近くまで急騰し、デイアヘッド価格は$1,000/MWh未満にとどまりました。この乖離により、リアルタイム市場で稼働するバッテリーには体系的な上振れが生じました。
リアルタイムスプレッドは全ゾーンでデイアヘッドスプレッドを上回りました。NYISO全体でリアルタイムTB4スプレッドの平均は$493/MW-日、デイアヘッドTB4($366/MW-日)より35%高くなりました。
REAPはデイアヘッドゾーンスプレッドを用いるため、リアルタイムの変動を捉えたバッテリーは体系的に基準価格を上回る収益を得られ、ストライク価格を超えるか、より競争力のある入札が可能となります。
アンシラリーサービスは基準価格以上の価値を生んだか?
1月24日、NYCのスピニングリザーブ価格は$228/MWhまで急騰。その1日で月間リザーブ価値の50%以上を生み出しました。
レギュレーション価格も嵐期間中にリザーブと連動して急騰し、NYC、Southeast NY、Capital、その他全NYゾーンで同様の傾向が見られました。
アンシラリーサービスは基準価格を超える上振れをもたらします。嵐期間中にAS収益を積み重ねたバッテリーは、RCPやREAPに反映されない価値を獲得しました。
価格は需要と供給のどちらで決まったか?
極端な価格を生んだのは供給側の要因であり、需要だけではありません。
嵐後、ネット負荷が2025年1月と同等でも価格は高止まりしました。ネット負荷が20~22GWのとき、2025年1月は$200/MWh未満で推移しましたが、2026年1月嵐後は$200~800/MWhに分布しました。
平均負荷は前年比0.8%増、ピーク負荷は2.8%増と小幅な増加にとどまりました。これだけでは前年の数倍に及ぶ価格上昇は説明できません。
発電ミックスは価格反応を説明できたか?
発電ミックスは変化しましたが、特異なものではありませんでした。寒波期間中、化石燃料発電が2GW増加し、需要増に対応しました。天然ガスとデュアルフューエルが朝夕ピーク時に増加しました。
しかし、ディスパッチパターンは月内および前年1月と同様の形状でした。発電ミックスだけでは極端な価格を説明できません。
ガスが過度な価格急騰を引き起こした
寒波期間中、ガス価格は月初の約$3/MMBtuから$31/MMBtuに急騰。パイプライン制約や凍結による供給逼迫が、暖房需要のピークと重なりました。
エネルギー価格は嵐期間中ガス価格と連動して推移しました。燃料費急騰と発電制約が重なり、電力価格は$700~800/MWhと、需要だけでは説明できない水準まで上昇しました。
ノーダルポジショニングはどこで価値を生んだか?
2026年1月、ノーダル価格はゾーン基準価格に対し最大$30/MW-日のアービトラージ収益を生みました。中部ニューヨークのノードが最大の優位性を示し、コーネルノードはゾーン基準価格に対し$29.71/MW-日上回りました。
ロングアイランドのファー・ロッカウェイノードも、ゾーン基準を約$21.64/MW-日上回る好成績でした。
優位性の高いノードに立地することで、開発者はストライク価格を低く設定したり、基準価格を上回るマージンを確保できます。ISC競争が激化する中、ノーダル分析はプロジェクト経済性でますます重要となります。
1月の結果はNYISOバッテリーのチャンスに何を示すか?
1月は、冬季ストレスイベント時にアップステートの競争力が劇的に向上しうることを示しました。アップステート基準価格の前年比74~90%の急騰で、従来のダウンステート優位が縮小しました。
この収束は、送電制約ではなく、全体的な燃料価格ショックによるものでした。NYCやロングアイランドへの輸入を制限する混雑が最小限だったため、アップステートとダウンステートの価格が連動しました。
ただし、これが今後の冬の唯一のパターンとは限りません。今後NYCやロングアイランドの火力発電がさらに退役し、Champlain Hudson Power Expressが寒波時に期待通り稼働しない場合、ダウンステートで局所的な逼迫が生じ、再度ギャップが拡大する可能性もあります。
ISC入札を検討する開発者にとって、示唆は一筋縄ではいきません。冬の価格変動は、供給制約が全体に及ぶ場合、アップステートの競争力を高めます。しかし送電制約によるダウンステートの逼迫は、NYCやロングアイランドのプロジェクトに有利となる可能性も残ります。
基準価格そのものに加え、リアルタイム収益の獲得、アンシラリーサービスの積み上げ、ノーダルポジショニングが上振れの道を拓きます。有利な立地と運用柔軟性を兼ね備えたバッテリーは、嵐期間中ゾーンベンチマークの何倍もの収益を得られたでしょう。
これはModo EnergyによるNYISOバッテリー収益のベンチマークレポート初版です。Modo Energy Researchの購読者は、Modo Terminalで詳細なノーダルデータやアセット別ベンチマークにアクセスできます。






