エグゼクティブサマリー
- 英国政府は、長時間エネルギー貯蔵を支援するためにキャップ・アンド・フロア制度の導入を計画しており、6時間BESSに収益の安定性を提供します。
- 対象となれば、6時間バッテリーの導入は2050年までに34GWに達する可能性がありますが、揚水発電との競争や政策設計の不透明さが課題です。
- キャップ・アンド・フロア制度による支援は資金調達コストを削減し、低いIRRでも長時間BESSへの投資を可能にしますが、収益の上限が制限される可能性もあります。
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- キャップ・アンド・フロア制度が連系線でどのように機能してきたか、エネルギー貯蔵への教訓。
- マーケット収益予測では、キャップがフロアよりも頻繁に発動される理由。
- BESSが最終的な政策に含まれるかどうか、競合技術が資金配分に与える影響。
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はじめに
電力網が再生可能エネルギー主体となり、ガス発電が廃止される中、柔軟性を確保するため長時間エネルギー貯蔵の必要性が高まっています。現在は建設コストの高さと将来の収益不確実性のため、こうした貯蔵施設は建設が進んでいません。政府は、長時間エネルギー貯蔵プロジェクトに収益の安定性を提供し、投資を促すため、キャップ・アンド・フロア制度の導入を計画しています。
では、この仕組みはどのように機能し、長時間バッテリーの導入にどのような影響を与えるのでしょうか?
本記事では、現行の政府協議に沿い、6時間以上の貯蔵を「長時間」と定義しています。
英国では40年間新たな長時間貯蔵が建設されていない
英国の再生可能エネルギー発電量は2000年の3%未満から、現在はほぼ50%まで増加しています。2050年にはModo Energyの中央予測シナリオで80%に達すると見込まれています。残りの大部分は原子力発電です。
現在はガス発電とが電力網の柔軟性を担っています。再エネ発電が少なく需要が高いとき、追加の電力を供給します。しかしガス発電が廃止されると、変動する再エネ発電と安定した需要曲線を調整するため、長時間貯蔵がますます必要となります。




