24 September 2021

Modoリーダーボード分析 パート1:DC(ダイナミック・コンテインメント)の登場

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Modoリーダーボード分析 パート1:DC(ダイナミック・コンテインメント)の登場

Modoリーダーボードは2020年1月に開始されました。当初は手動で作成したレポートをユーザーにメール送信していましたが、現在では当社プラットフォームの主要機能の一つである複雑なベンチマーキングシステムへと成長しています。

リーダーボードの開始以降、グレートブリテン(GB)で運用されるバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)が、さまざまな市場戦略で運用されているのを目にしてきました。また、DC(ダイナミック・コンテインメント)が主要な収益源として台頭してきたことも確認しています。

この記事パート1では、DCの登場について以下の観点から考察します。

  • これまでの経緯
  • 月別収益動向

(パート2では、マーチャント市場の機会がBESSの収益にどのように影響したか、そして今後注目すべき点について取り上げます。詳しくは当社プラットフォームのインサイトセクションをご覧ください。)

これまでの経緯

現在DCで得られる£17/MW/hがBESSにとって安定した高収益をもたらしていることは周知の事実です。しかし、DCが導入される前はどのような状況だったのでしょうか?市場戦略にはどのような違いがあったのでしょうか?

図1(下)は、2020年1月から2021年8月までのModoリーダーボードに掲載された全アセットの1日ごとの主要市場活動を示しています。

図1 - リーダーボードアセットの市場活動

多くの情報が詰まっていますので、順に解説します:

  • グラフの上部に位置するアセットは現在、拡張周波数応答(EFR)を提供する契約を結んでいます。これにより他市場への参加はできませんが、来月以降、個別アセットの契約終了に伴い状況が変わり始めます(すべてのEFR契約は2022年3月までに終了予定)。これにより新たな容量が他市場に参入することになります。
  • グラフの空白部分は、アセットが稼働していない、または市場外にあることを示しています。(市場活動の可視性は、補助サービス参加、バランシングメカニズム(BM)でのビッド・オファー・アクセプタンス、卸売市場価格と合わせた物理通知の利用など、公開データに基づいています。)
  • 2020年10月以前は、収益の大部分が月次FFRによるもので、2020年第1四半期から第3四半期までのBESS収益の49%を占めていました。
  • このサービスに参加していないアセットは主に週次FFRを提供しており、特定のアセットはマーチャント戦略を追求していましたが、この期間のBESS収益全体のわずか5%に過ぎませんでした。
  • 上記グラフから読み取れる最大のポイントは、DCの普及です。アセットによって市場参加時期は異なりますが(サービス開始初日から参加したものもあれば、2021年8月31日にようやく参加したものも)、8月末時点でリーダーボード上の全非EFRアセットがDCに参入しています。
  • DCへの参加は、主にサービス提供に必要な高いサイト要件のため、段階的に進行しました。

月別収益動向

これまでBESSの主な収益源は補助サービスでしたが、FFRからDCへの移行が市場収益の平均にどのような影響を与えたのでしょうか?

図2 - リーダーボードアセットの市場別推定月次年換算収益平均(キャパシティマーケット収益・システム利用料は除く)

図2(上)は、2020年1月以降のBESSの推定月次年換算収益平均を示しています。2020年夏には年換算収益が約£50,000/MW/a(2020年7月)まで落ち込みましたが、その後は毎月増加し、2021年7月には£127,500/MW/aのピークを記録しました。これは、前述の通り、より多くのアセットが継続的にDCに参加したことが要因です。

とはいえ、マーチャント戦略を選択したアセットが恩恵を受けた月もありました。これは上記グラフの2020年9月と2021年1月に見られ、この期間はマーチャント市場が収益全体に占める割合が高くなっています。(なぜこのような現象が起きたのかはパート2で解説します。)

図3(下)は、2020年1月以降のリーダーボード全アセットの推定収益分布を示しています。

図3 - リーダーボードアセットの推定月次収益分布(キャパシティマーケット収益は除外)
  • アセットの推定月次平均収益は上昇傾向にあり、2021年は2020年に比べて収益のばらつきも小さくなっています。これは、DCがBESSの主要市場となったことが要因です。
  • 収益分布の上位にいないサイトは、長期間DCに参入できなかった、あるいはEFR提供契約中である場合が多いです。
  • 2021年1月に推定収益のピークが見られました。これは卸売価格の急騰によるもので、この期間にマーチャント市場で取引したアセットが恩恵を受けました。(今月も卸売価格の急騰が見られ、どのアセットが活用したか注目されます。)

まとめ

ここ数年、補助サービスはBESS収益の生命線となってきました。DCの導入により、同サービスを提供できる事業者にとって実り多い時期となっています。現在BESSオーナーはDCを通じて高水準で安定した収益を得ていますが、これが永遠に続くわけではありません。

マーチャント市場の機会がリーダーボードにどのような影響を与え、今後どのように重要性が増していくのかについては、パート2のModoリーダーボード分析をインサイトページでご覧ください。