NEM(全国電力市場)では、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の導入が急速に進んでいます。2025年には新たに840MW、1680MWhのBESSが稼働を開始し、わずか半年強で過去最高の年間記録を更新しました。さらに2GW規模のプロジェクトが現在、さまざまな段階で試運転中です。
しかし、石炭火力のリタイアを可能にするためのディスパッチ可能容量目標を達成するには、さらに多くのBESSが必要です。では、BESS業界はどれほど迅速にこのニーズに応えられるのでしょうか?
本レポートでは、既存プロジェクトの稼働までの期間を分析し、建設・試運転にかかる標準的なスケジュールをデータに基づいて示します。また、納期遵守の実績を持つ企業についても解説します。
主なポイント
- 初期プロジェクトは短期間で稼働しましたが、2021年以降、NEMでのBESS導入は加速しつつも建設期間は延びていません。
- 現在の平均プロジェクトは、建設開始から商業運転開始まで約20ヶ月弱で完了しています。最速の案件はこれより30%早く達成しています。
- 試運転期間には大きなばらつきが見られます。多くのプロジェクトは建設後3~4ヶ月で商業運転を開始しますが、2倍以上かかるケースもあります。
- プロジェクトのパートナー選定も重要で、3社が業界標準と同等またはそれより早く建設を完了しています。
NEMでバッテリーが稼働開始するまでの期間は?
2021年4月以降に建設を開始したNEMプロジェクトでは、平均してバッテリーの建設に16.2ヶ月、試運転にさらに3.4ヶ月かかっています。つまり、建設開始から商業運転開始まで平均19.6ヶ月となります。
最速のプロジェクトでは14ヶ月強でこのプロセスを完了しますが、最も遅い場合は28ヶ月近くかかることもあり、収益化までの期間が2倍近く異なることもあります。




